火山噴火を駆動する巨大マグマ貯留域の「縁」のマグマ

桜島火山・霧島火山の地下構造から提案するマグマ供給系の新しい描像

理学研究院
相澤広記 准教授

ポイント

・桜島火山と霧島火山の地下に、巨大で長寿命なマグマ貯留域が確認された。
・一方で、GNSS観測*1等で捉えられる地盤変動源は、この巨大なマグマ貯留域全体ではなく、その端部の小規模で短寿命なマグマ貯留域に対応する。
・通常規模の噴火活動の大部分は、巨大マグマ貯留域全体ではなく、その縁を上昇する少量のマグマによって発生する。

概要

火山の地下にマグマがどのように蓄えられ、どこを上昇して噴火に至るのかは、火山の理解や、噴火予測の根幹に関わる重要課題です。
 九州大学大学院理学研究院附属地震火山観測研究センターの相澤広記 准教授、および東京大学地震研究所の小山崇夫 准教授、上嶋誠 教授、京都大学の宇津木充 准教授、東京科学大学総合研究院多元レジリエンス研究センターの神田径 准教授らの研究グループは、活発な活動を続ける桜島火山、霧島火山においてMT法電磁探査*2を実施し、両火山の地下には共通して、巨大で長寿命な珪長質マグマ貯留領域に対応すると考えられる電気を流しやすい領域 (低比抵抗領域)が存在することを明らかにしました。その一方で、GNSS観測等で検出される地下の膨張・収縮源は、こうした巨大な貯留領域そのものではなく、その端部に位置する、より局所的で寿命の短いマグマ貯留域に対応していることが示唆されました。噴火時に地表へ向かうマグマは、巨大マグマ貯留域全体から一様に供給されるのではなく、その縁辺部を通って上昇することが示唆され、人間の時間スケールで観測される噴火現象の多くは、巨大系そのものではなく、その縁辺部のごく一部の活動として理解できることが提案されました。
 本研究成果は2026年3月9日(月)に「Earth, Planets and Space」誌に、2026年4月10日(金)に「Geophysical Research Letters」誌に掲載されました。

用語解説

*1 GNSS観測 … 人工衛星を用いて地表の位置変化を高精度で測定し、地下のマグマや熱水の移動を推定する観測手法。
*2 MT法電磁探査 … 地磁気嵐などによる自然の電磁場変動を信号源として、大地に誘導された電磁場を地表で計測することによって地下比抵抗構造を推定する探査技術。

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