連星ブラックホールからの重力波に潜む量子性

~量子重力理論への第一歩~

理学研究院
菅野 優美 准教授

ポイント

・量子重力理論(※1)が示唆する未発見粒子、グラビトン(※2)の発見が強く望まれている
・連星ブラックホールからの重力波(※3)の量子力学的記述に世界で初めて成功
・今後、グラビトンの発見につながることが期待される

概要

これまで連星系(※4)からの重力波は、古典的に記述されると信じられてきました。
 研究グループは、連星系が生成するグラビトンの量子状態を定量的に評価し、10-4のオーダーで、古典的な重力波に最も近いコヒーレント状態(※5)からのズレが存在することを明らかにしました。
 九州大学大学院理学研究院の菅野優美准教授、神戸大学大学院理学研究科の早田次郎教授および九州大学大学院理学府博士課程1年の谷口彰らの研究グループは、連星系からの重力波の解析を行い、重力波に潜む量子性の存在を明らかにしました。
 最後の未発見粒子であるグラビトンの発見に貢献することが期待されます。
 本研究成果は米国の雑誌「Physical Review Letters」に2026年2月12日(木)に掲載されました。

本研究グループからひとこと

本研究は、連星系からの重力波に、初めて量子論を適用した斬新な成果であると評価されています。この研究が、将来グラビトンの発見につながれば嬉しいです。

用語解説

(※1) 量子重力理論
重力を量子論で説明し、時空の最も根本的な性質を明らかにしようとする理論。

(※2) グラビトン
重力を伝える粒子で、重力子とも呼ばれる。重力波もグラビトンの集合として理解できる。

(※3) 重力波
大きな質量の天体が激しく動いたときに生じる“時空のさざ波”である。

(※4) 連星系
2つの恒星が互いの重力で結びつき、共通の中心のまわりを回っている天体の組のことである。

(※5) コヒーレント状態
量子でありながら、古典的な波に最も近い振る舞いをする特別な量子状態のことである。

詳細

本件の詳細についてはこちら

お問い合わせ先

理学研究院 菅野優美 准教授

[3/14-/21開催]九州大学公開講座 Kyushu University Open Explorations 100 -「総合知」探究-

日本の住宅建設がもたらすCO2排出量を定量化

関連記事

  1. 【6/27開催】アカデミアにおける安全保障管理の…

    ~本講演は第22回九州地域大学輸出管理実務者ネットワーク勉強会を兼ねます。~…

  2. モンゴル国立医科大学との大学間交流協定締結の調印…

    2024年8月19日に石橋総長を筆頭とする訪問団がモンゴル国立医科大学を訪問…

  3. 【5/28開催】JST COI-NEXT事業「持…

     本事業は、「CO2排出の極端に少ない持続可能な農業生産社会の実現」に向けて…

  4. 炭素質隕石から遺伝子の主要核酸塩基5種すべてを検…

    ~地球上での生命の起源・遺伝機能の前生物的な発現に迫る~ポイント…

  5. 《2/21開催》第20回有機光エレクトロニクス産…

    ~テーマは「有機光デバイスの解析・分析技術」~ 有機光エレクトロニク…

  6. 研究者と学生のための論文執筆ワークショップ【参加…

    研究者と学生のための論文執筆ワークショップ【参加者募集】論文を適正な…

  7. 《6/13開催》九州大学マス・フォア・インダスト…

    統計データ利活用センターによるオンサイト施設利用説明会と公的ミクロデータを用…

  8. 【10/29,/30開催】半導体・イノベーション…

    本イベントを通じて、日本とベトナムとの学術連携を強化し、大学の知と産業界の実…