「美味しさ」が脳を覚醒させる!

~食後の作業効率向上と脳活動の関係を脳波で解明~

基幹教育院
岡本 剛 准教授

ポイント

・美味しさが脳の認知機能に与える影響は十分に解明されていませんでした。
・本研究では、美味しい食事が作業効率や動機づけの向上に影響を与えることを脳波に基づく生理心理学的手法で実証しました。
・今後、食科学や認知症予防、集中力向上などへの応用が期待されます。

概要

九州大学大学院システム生命科学府の李虹佳大学院生、基幹教育院および同学府の岡本剛准教授、株式会社ニチレイフーズらの研究グループは、「美味しい食事」が食後の認知処理や動機づけ、作業効率に与える影響を、脳波および前頭部の脳波バランスを用いて明らかにしました。

本研究は、3種の冷凍炒飯を用いた比較実験を行いました。喫食後に、脳の混乱を引き起こすテスト(ストループ課題)を行っている際の脳波を測定・解析すると、美味しい炒飯を食べた被験者では、前頭部のα波が全体的に低下(高覚醒)し、左前頭部の活性化(接近動機づけ)が顕著に現れることが確認されました。さらに、美味しさの主観評価と脳波との相関も観察され、美味しさが高いほど覚醒・集中状態が高まる傾向が示されました。

この成果は、短時間の食事によって脳のパフォーマンスや動機づけが変化し得ることを初めて示したものであり、今後は認知症予防、学習・作業効率向上、スポーツパフォーマンスの最適化など、さまざまな分野への応用が期待されます。

本研究成果は、2025年4月29日(中央ヨーロッパ時間、CET)に国際誌 Frontiers in Psychology に掲載されました。

研究グループからひとこと

本研究では、私たちの生活に身近な「冷凍炒飯」の美味しさが、食後の認知活動や作業効率に影響を与えることを脳科学的に確かめました。まだまだ検討の余地はありますが、今後の昼食の取り方などにも活用できる基礎的な研究成果の一つだと考えています。

詳細

本研究の詳細はこちらをご参照ください。

お問合せ先

基幹教育院 岡本剛 准教授

《6/13開催》九州大学筑紫地区地域連携推進チーム×大野城心のふるさと館 プレゼンツ 「ここふるサイエンスカフェ Vol.14」

《6/18開催》令和7年度第3回I²CNER Seminar

関連記事

  1. 大規模多施設データ解析から見えた日本における炎症…

    ~白血病・胆道がんのリスクが上昇する一方、免疫抑制療法によるリスク上昇は確認…

  2. 【10/30開催】第163回アジア・オセアニア研…

    太田 耕平 教授(農学研究院 資源生物科学部門)九州大学アジア・オセ…

  3. 神経幹細胞の運命転換の分子メカニズム解明に成功

    〜同じ分化誘導因子に応じて、異なる細胞を作り分ける仕組み〜概要 …

  4. 細胞分化で遺伝子が正確に働くための新たな仕組みを…

    —がん研究や幹細胞研究、再生医療など広い分野での貢献に期待—ポイント…

  5. 夜間の温泉利用と血圧変化

    ~夜の温泉入浴は高齢者の血圧低下に影響か?~九州大学病院 別府病院山…

  6. 《3/4開催》第2回データ駆動イノベーション推進…

    ~デジタル社会における幸福感「幸せの測り方と支え方」~人間は古代よ…

  7. 新ニーズに対応する九州がんプロ養成プラン「市民公…

    新ニーズに対応する九州がんプロ養成プラン「市民公開講座」YouTube限定配…

  8. 育ちが生まれに変わるとき メダカから見えた可塑性…

    〜気候変動下における生物の適応メカニズムの理解に新たな知見~芸術工学研究…