多種多様な酸化リン脂質を網羅的に捉える解析・可視化技術を開発

多種多様な酸化リン脂質を網羅的に捉える解析・可視化技術を開発

 生体膜を構成するリン脂質 (PL)は、酸化を受けやすく、容易に「酸化リン脂質 (酸化PL)」が生成されます。酸化PLは、細胞死や炎症反応の制御など多彩な生理活性を示し、様々な疾患の発症に関与することが明らかになりつつあります。しかし、酸化PLの生成メカニズムが複雑であるため、これまでに構造同定された酸化PLの数は極めて少なく、疾患発症時において実際にどのような分子種が増減しているか、またそれらがどのような局在性を示すかは全く不明でした。
 九州大学大学院薬学研究院の松岡悠太助教、山田健一教授らの研究チームは、九州大学生体防御医学研究所の高橋政友特任助教、和泉自泰准教授、馬場健史教授、慶應義塾大学医学部の杉浦悠毅講師、末松誠教授、九州大学大学院薬学研究院の西山和宏講師、西田基宏教授と共同で、様々な疾患の原因物質である酸化リン脂質の包括的構造ライブラリーおよび可視化技術を開発しました。
 研究グループは、未知の酸化PLを探索する技術として、液体クロマトグラフィー質量分析法 (LC/MS/MS)を用いたノンターゲット分析を活用し、計465種の酸化PL構造を新たに推定しました。こうして構築した構造ライブラリーを応用し、アセトアミノフェン誘発急性肝障害モデルマウスの肝組織中において70種もの酸化PLが生成することを明らかにしました。さらに、酸化PLを可視化する技術として、新たに重酸素(18O2)標識質量分析イメージング法を開発し、酸化PLが肝組織中の障害部位に蓄積していることを見出しました。今回の成果および開発技術は、新たな生理活性脂質の発見や酸化ストレス性疾患の発症機序解明、バイオマーカー探索に貢献することが期待されます。
 本研究成果は、2021年11月5日(英国時間)に国際科学雑誌「Nature Communications」にオンライン版で公開されました。

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九州大学プレスリリースをご参照ください。

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