〜がんオルガノイドを用いた薬剤評価システムへ展開〜
ポイント
・血管網と統合された組織モデルの代謝モニタリングシステムを開発
・非侵襲的な電気化学計測により、経血管的な薬剤投与に伴う酸素代謝の変化をリアルタイムに評価
・本システムをがんオルガノイドシステム(がんのミニ組織)へ応用し、薬剤効果の評価システムとしての有用性を検証
概要
人工多能性幹細胞(iPSC)や生体幹細胞から生体のミニ組織(オルガノイド)を作ることが可能となったことで、薬剤探索ツールとしての活用が期待されています。ミニ組織モデルの機能を維持しつつ生体内の機能に近づけるためには、ミニ組織の周囲に血管網を整備することが欠かせません。しかし、血管と統合したミニ組織モデルの機能評価の効率に課題を残していました。
東北大学、京都大学、九州大学の共同研究チームは、電気化学センサの一種である、走査型電気化学顕微鏡(SECM)を用い、血管と統合されたミニ組織モデルの酸素代謝活動を評価するシステムを開発しました。また、実際にがんのオルガノイド(がんのミニ組織)に実際に応用して酸素代謝の変化を元に薬剤効果の評価が可能であることを確認しました。今回開発したシステムは、血管を介して投与される薬剤の応答をリアルタイムで評価できます。今後、評価項目の拡充や評価結果の安定性の向上により、薬剤スクリーニングツールとしての応用が期待されます。
本研究成果は、バイオセンシング分野の国際的な学術誌である『Biosensors and Bioelectronics』に、2022 年10 月29 日付で掲載されました。
詳細
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