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再生可能エネルギーの発電拡大による電力卸売市場の価格低減効果が明らかに

 ~気候変動対策の経済的側面からの政策立案に貢献~ 

 太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー由来の発電方法は、燃料費がかからないことから発電時の限界費用がゼロであると知られています。すでにこの点に着目した研究が欧米を中心に進められており、太陽光発電や風力発電による発電電力量の拡大が電力市場における価格低減効果(メリットオーダー効果:MOE)を持つことが明らかとなっていました。しかし日本ではこのメリットオーダー効果は十分に認識されておりませんでした。
 今回、九州大学大学院経済学府修士課程の阪口真生志氏と同大学大学院経済学研究院の藤井秀道准教授は、日本の電力卸取引所(JEPX)の前日スポット価格を分析対象として、再生可能エネルギーの発電拡大が電力価格に与える影響を解析しました。解析では、2016年度から2019年度における1時間ごとの電力卸売価格や再生可能エネルギーの発電電力量、需要量や燃料価格のデータを利用した解析を行い、太陽光発電及び風力発電の発電電力量がそれぞれ1GWh増加することで、電力卸売価格を0.085円/kwh及び0.345円/kwh低下させる効果を持つことを明らかにしました。
 本研究では、欧米とは電力システムや再生可能エネルギーの普及形態が異なる日本において、太陽光発電と風力発電のメリットオーダー効果を実証分析によって定量化しました。さらに、9エリアに分かれている国内電力市場の特徴を考慮したエリア別の分析や、市場価格高騰時と平常時の違いに着目した分析を実施しており、それぞれの実情に応じた政策に有用な情報を提供しています。
 本研究では、再生可能エネルギーの普及は気候変動問題への対策だけでなく、電力卸売価格を低減させるメリットオーダー効果も期待できることを、日本の電力市場を対象に研究し、明らかにしました。本研究成果は、再生可能エネルギーの発電電力量拡大を通じて得られる社会的便益をより正確に推計するための重要な情報として活用が期待されます。
 本研究は、日本学術振興会 科学研究費(JP18H03433, JP20K12283)の助成を受けました。本研究成果は、11 月 30 日(火)付のFrontiers in Sustainabilityに掲載されました。

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九州大学プレスリリースをご参照ください。

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