「治療薬」ではなく「引き⾦」を投与することで⾝体⾃らががんを退治する

~ がんのリング上で戦いのゴングを鳴らす細胞医薬 ~

ポイント

・副作⽤の観点から、治療薬に依存しないがんの治療法が求められていました。
・がん特異的に強⼒な炎症を引き起こす細胞医薬の開発に世界で初めて成功し、からだ⾃⾝にがんを治療させるという新しいがんの治療法を動物実験にて提唱しました。
・臨床応⽤に向けて今後はさらなる安全性の向上を⽬指します。

概要

 抗がん剤などの治療薬を⽤いたがん治療は、2週間毎に1回というように複数回の投与によって治療効果を発揮します。抗がん剤を投与すればするほど治療効果は出る反⾯、副作⽤のリスクはますます⾼まってきます。そのため、抗がん剤に依存しないがんの治療法が望まれていました。
 今回、「からだ⾃⾝にがんを治療させる」細胞医薬の開発に世界で初めて成功し、新しいがんの治療法を提唱しました。
 九州⼤学⼤学院⼯学研究院の⽚⼭佳樹教授、新居輝樹助教、および⾕⼾謙太⼀貫制博⼠過程4年らの研究グループは、がんで炎症の「Trigger(引き⾦)役」となる細胞医薬(MacTrigger と命名)を開発しました。マウスを⽤いた動物実験において、注射後がんまで効率よく辿り着いた MacTrigger は、そこで強い炎症を引き起こします。すると、「異物の排除」というからだ本来がもつ能⼒によって、がんの成⻑を効率よく抑制しました。 このがん治療はあくまでからだ⾃⾝が⾏っているため、マウスの実験では⼤きな副作⽤は観察されていません。また、がん以外には Trigger として働かないように「ロック機能」が MacTrigger には搭載されているため、健康な臓器には炎症を引き起こしませんでした。これは副作⽤のリスクを極限まで減らせたことを意味します。今回開発した MacTrigger は、「がんを殺傷する治療薬」というこれまでの細胞医薬とは異なり、「からだ⾃⾝にがんを治療させるきっかけを与える物質」という全く新しい概念の細胞医薬の考え⽅を提案するものです。
 今回の研究は、がん治療の新しいコンセプトを世界に提唱するものであり、今後、さらに基礎研究を進め、ステップをクリアしていくことで臨床応⽤への展開が期待されます。
 本研究成果は、国際誌「Journal of Controlled Release」に2023年4⽉19日(⽇本時間)に掲載されました。

詳細

詳細は九州大学プレスリリースをご参照ください。

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