加齢黄斑変性の発症に関わる2つの新規感受性領域を同定

~失明原因の精密医療に向けた一歩~

ポイント

・加齢黄斑変性は主要な失明原因疾患の一つで、発症には遺伝要因が関与する。
・日本人患者約3,700名を対象としたアジアで最大規模のゲノム研究により、加齢黄斑変性の発症に関わる2つの新規遺伝子領域を同定した。また、これらの領域は別の眼科疾患である中心性漿液性脈絡網膜症(※)にも影響している可能性が示唆された。
・本研究成果は、日本人の生まれついた加齢黄斑変性のなりやすさを予測することに役立ち、疾患の発症予防に貢献することが期待される。

概要

 加齢黄斑変性 (AMD)は先進国において主要な失明原因の一つです。病気のなりやすさには、喫煙や加齢といった生活要因に加えて、遺伝的な要因が関与していることがこれまでに報告されています。どの遺伝子領域が発症に関与しているかは、これまで欧米人を主体とした国際コンソーシアムにより主に明らかにされてきましたが、当研究グループなどによるアジア人を対象とした研究からは、国際コンソーシアムで報告されていない遺伝子領域を同定することに成功してきました。
 今回、日本人AMD患者3,772名を対象とした大規模なゲノム解析により、新規2領域を含む6つの遺伝子領域が日本人のAMDに関与していることを明らかにしました。さらに、新たに同定された2つの遺伝子領域は、別の眼科疾患である中心性漿液性脈絡網膜症にも影響する可能性が示唆されました。
 九州大学大学院医学研究院眼病態イメージング講座の秋山雅人講師(理化学研究所生命医科学研究センターゲノム解析応用研究チーム客員研究員)、眼科学分野の園田康平教授、京都大学大学院医学研究科眼科学教室の三宅正裕特定講師、辻川明孝教授、理化学研究所生命医科学研究センター基盤技術開発研究チームの桃沢幸秀チームリーダー、ゲノム解析応用研究チームの寺尾知可史チームリーダー、鎌谷洋一郎客員主管研究員らを中心とした研究グループは、2,663名のAMD患者と9,471名の対照群のゲノムデータを用いてゲノムワイド関連解析(※)を実施し、これまでに報告のない2領域を含む計6ヶ所の遺伝子領域がAMDの発症に関わることを明らかにしました。また、1,109名のAMD患者と7,299名の対照群のDNAを用いて新たに同定された2領域が関連することの再現性を確認しました。さらに、京都大学のグループにより実施された中心性漿液性脈絡網膜症 のGWAS結果と統合解析したところ、新たに同定された2領域は中心性漿液性脈絡網膜症の発症にも影響する可能性が示唆されました。
 本研究成果は米国の雑誌「Ophthalmology」に日本時間2022年11月21日(月)に掲載されました。

用語解説

(※) 中心性漿液性脈絡網膜症
網膜の中心部に水が貯留することで視力の低下を引き起こす眼科疾患。中年の男性に多く、自然軽快することもあるが、再発を繰り返したり長期化したりすることで視力が回復しないこともある。京都大学を中心とするグループにより、発症に関わる2つの領域が報告されている。
(※) ゲノムワイド関連解析
2002年に理化学研究所が世界に先駆けて報告したゲノムスクリーニング方法。病気のなりやすさなど様々な個人の違いに関係があるゲノム上の領域を特定する手法。

詳細

詳細はプレスリリースをご参照ください。

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