DYASIN法の新展開.多様なキラル分子の光学活性体調製に成功!

〜医薬品や機能性材料,触媒開発への応用に期待〜

ポイント

1.光学活性なキラル分子の効率的調製は極めて重要
2.DYASIN法によって2種類のキラル分子、螺旋不斉分子、軸不斉分子の光学活性体を効率的に調製することに成功
3.キラルな医薬品や機能性材料、触媒などの効率的製造法としての応用に期待

概要

 有機分子には、右手と左手のように実像と鏡像を重ね合わすことができない異性体(エナンチオマー)を有するものが数多く存在し、それらはキラル分子と称されます。なかでも、分子内の螺旋構造によって生じるキラリティーを有する「螺旋不斉分子」や分子内の結合軸の回転が抑制されることによって生じるキラリティーを有する「軸不斉分子」は、キラルな医薬品や機能性材料、触媒として、あるいはそれらの原料として重要です。それらを光学活性体(一方のエナンチオマーが他方よりも多い状態)として調製するために従来は、両エナンチオマーの混合物を分離する手法(光学分割法)、もしくは一方のエナンチオマーを選択的に合成する手法(不斉合成法)が用いられてきましたが、いずれも効率に問題がありました。
 これに対して、九州大学先導物質化学研究所の友岡克彦教授、井川和宣助教、河崎悠也特任助教らの研究グループは、「エナンチオマー間で熱的に相互変換する螺旋不斉分子」のラセミ体を外的キラル因子(OCS)と共存させることでエナンチオマー比を偏らせるDYASIN法(Dynamic Asymmetric Induction:動的不斉誘起法)によって光学活性体を得ることに成功しました。本法は空気雰囲気下、室温下で定量的に行うことができ、極めて効率的です。さらに、得られた光学活性な螺旋不斉分子を立体特異的に変換して光学活性な軸不斉分子を合成することにも成功しました。
 これらの結果は令和4年1月13日に英国王立化学会速報誌「Chemical Communications」のオンライン版に公開されました(DOI: 10.1039/d1cc05881a)。なお本研究は日本学術振興会科学研究費 基盤研究(S)「キラル分子を光学活性体として得る革新的手法DYASINの開発(JP20H05677)」の一環として行われました。

詳細

九州大学プレスリリースをご参照ください。

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