ナノ気泡を使った金属腐食抑制・スケール抑制技術の提案

〜 ナノ気泡を使った金属腐食抑制・スケール抑制技術の提案 〜

 九州大学 大学院工学研究院 地球資源システム工学部門の喜岡新 助教と中川昌美 客員教授(本務:米国コロラド鉱山大学)は、金属腐食やスケール(※1)付着の抑制におけるウルトラファインバブル(※2)の応用可能性について提案しました。
 我が国は世界有数の地熱資源保有国であるため、再生可能エネルギーを利用する地熱発電が注目されています。地熱発電所の多くは九州地方に集中していますが、我が国に限らず世界中の地熱発電所において、発電所施設の配管での腐食ならびに炭酸カルシウムやシリカ等のスケール付着が発生しています。腐食やスケール付着は、定期的な配管交換や高価な鋼材の導入が必要になることや、発電出力の低下、スケール付着物除去に伴う著しいコスト増加をもたらすなど、地熱発電所の運営上で大きな問題となっています。
 そこで研究グループは、様々な先行研究で発見や予測されているウルトラファインバブルの基礎的な物理化学特性の知見をもとに、ウルトラファインバブルを使って腐食やスケール付着を軽減できるかどうかを考察しました。その結果ウルトラファインバブル利用は、腐食抑制やスケール抑制に有効であるだけでなく、(1)化学薬品不使用なため環境に優しい「グリーン」な材料であること、(2)安価、(3)導入が比較的容易、(4)地熱発電のような比較的高温・高圧な環境でも使用可能、(5)長時間使用可能、といった従来の抑制剤では難しい側面でのメリットがあることが分かりました。今回の研究グループの研究は理論的な見地に留まりますが、今後の様々な研究によって、ウルトラファインバブルの具体的な実用性だけでなく、腐食やスケール付着の問題を抱える様々な工学分野での応用可能性についても明らかになることが期待されます。
 本研究は本学工学研究新分野開拓助成および日本学術振興会科学研究費助成事業若手研究(JP21K14576)の支援を受けて実施されました。なお、この研究成果は2021年6月23日(日本時間)に「Renewable and Sustainable Energy Reviews」誌(IF = 12.1)にオンライン掲載されました。
(掲載URL:https://doi.org/10.1016/j.rser.2021.111373)

※1:液体に含まれるカルシウムやシリカなどの無機塩類が設備機器に付着したものです。
※2:ナノバブルとも呼ばれている数十〜数百ナノメートル径の超微小気泡です。環境に優しく導入が比較的安価なことから、農林水産や美容など様々な分野での応用例も数多く報告されています。

詳細

九州大学プレスリリースをご参照ください。

燃焼排ガスや空気からCO2を回収可能なガス分離膜『アミン含有ゲル粒子膜』を開発

次世代材料開発に必要不可欠な接着剤の疲労挙動の解明に成功

関連記事

  1. スパッタリングにより成膜された磁性絶縁体の電流誘…

    ~情報機器を大幅に省エネルギー化する技術開発を加速~システム情報科学研究…

  2. 新しい「核分裂」の発見! 99番元素アインスタイ…

    ― 超重元素の存在限界と宇宙での元素合成の理解へ ―理学研究院坂口 …

  3. [応募締切9/15]「SDGsデザインインターナ…

    今年のテーマは、「持続可能でインクルーシブな未来をデザインしよう!」…

  4. 【11/14開催】脱炭素に向けたモビリティ・ワー…

    ~モビリティを変えることで日常の移動が脱炭素活動につながる~ 九州…

  5. 液晶と高分子の複合材料で生じる新しい電気流体現象…

    ~ポストディスプレイ技術やエネルギー利用への応用に期待~工学研究院日…

  6. I²CNER Special Lecture S…

     ~「Global Energy Overview」を開催します~ …

  7. 【7/26】安江文部科学大臣政務官が九州大学を視…

     安江 伸夫(やすえ のぶお)文部科学大臣政務官が本学を訪れ、本学執行部等と…

  8. 東南アジアにおける持続可能なエネルギーの追求:国…

    九州大学エネルギー研究教育機構准教授  Robert Lindner…