〜環境DNAによる迅速・高感度な検出系開発に期待〜
ポイント
・近年日本の河川で異常発生している珪藻が、外来種のCymbella janischii(和名:ミズワタクチビルケイソウ)であることを分子系統学的に証明しました
・遺伝子解析は、本種が近年国内に侵入し、急速に拡散したことを示しました
・本研究で得られた遺伝子情報を利用して、環境DNA(※1)による迅速・高感度な検出が可能になると期待されます
概要
九州大学大学院工学研究院 附属環境工学研究教育センターの鵜木(加藤)陽子 学術研究員を代表とする研究チーム(東京学芸大学教育学部 真山茂樹 名誉教授、(有)河川生物研究所 洲澤譲、九州大学大学院農学研究院 栗原暁 助教、島崎洋平 准教授、群馬県東部農業事務所 久下敏宏 博士らで構成)は、近年日本の河川で異常発生している珪藻が、Cymbella janischii(和名:ミズワタクチビルケイソウ)という外来侵入種であり、急速に拡散されたことを遺伝子解析によって明らかにしました。
研究チームは、本研究で明らかにした本種の国内の遺伝子配列を利用して、環境 DNA による迅速・高感度な検出系の開発を進めており、本種のモニタリング・拡散防止・在不在情報から生態・生理の解明に役立つものと期待しています。
本研究成果は、日本学術振興会科学研究費 (JP19K06187)の支援を受けて行われ、2022年6月1日出版の国際学術誌 BioInvasions Recordsに掲載されました。
用語解説
(※1) 環境 DNA
環境中に放出された生物由来のDNAの総称。近年のDNA分析技術の向上により、水や土壌、空気中に漂うDNAを解析することで、そこに居る(居た)生物をおおよそ把握することができるようになりました。
詳細
九州大学プレスリリースをご参照ください。