3者による働く人のQOL(Quality of Life)向上への取り組み

『働く人の心の健康を維持するための仕組みづくり ~うつ/うつ症状の予防 ~ 復職支援等~』

 国立大学法人九州大学(福岡県福岡市西区、総長:石橋 達朗、以下、九州大学)は、株式会社島津製作所(京都府京都市中京区、代表取締役社長:山本 靖則、以下、島津製作所)、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社(本社:山形県鶴岡市、代表取締役社長:橋爪 克仁、以下、HMT)と、『働く人の心の健康を維持するための仕組みづくり ~うつ/うつ症状の予防 ~ 復職支援等~』への取り組みにおいて連携いたします。

取り組みの背景

・時代の移り変わりとともに変化する人々の価値観や、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大に伴い、働く人の環境は大きく変化していますが、個人としてのメンタルケア、働く組織におけるメンタルケアなどをどのように行うか、これまで以上に重視されるようになってきています。
・2013年に立ち上がった九州大学病院気分障害ひきこもり外来(九州大学 大学院医学研究院 精神病態医学分野 加藤隆弘准教授・主宰)では、生物・心理・社会的な理解に基づく社会的ひきこもりやこころの病気の治療法開発をすすめています。
・うつ病の早期発見や早期対応が遅れることが社会的ひきこもりのリスクになる可能性を国際的に提唱し、ひきこもり研究ラボ@九大を拠点として、国内外の医療研究機関と連携し、うつ病やひきこもりの新しい評価ツールを開発し、支援法開発に向けた取り組みをすすめています。
・2016年には九州大学病院検査部と連携し血中代謝物バイオマーカーを用いたうつ病の重症度を診断する手法を確立し、2020年には島津製作所との共同研究成果として、うつ病診断補助の手法を確立しました。
・2022年より、これら検査手法を社会実装するための取り組みとして、企業における健診などで共同事業実証(以下、POC)を構築する取り組みをはじめました。
・すでに島津製作所との共同研究として福岡市内のモデル企業の会社員100名を対象とした実証研究を始動しており、健診センター等と連携し、企業における社員のメンタルヘルスの不調を早期に発見できる体制作りに取り組んでいます。
・HMTは、うつ病をはじめとするメンタルヘルスのバイオマーカーの研究を推進してきました。九州大学とHMTは、両者が保有する複数のバイオマーカーを組み合わせた精神状態評価指標の開発を行うことで合意し、今般、共同研究契約を締結し、休職・復職支援に向けた研究開発に取り組み、社会実装を目指します。

取組の内容および今後の展開について

・島津製作所は九州大学とのPOCを経て、検査サービスパッケージを確立、従業員検診や人間ドック向けの検査実施基盤を構築し、組織マネジメントコンサルテーションと組み合わせた高付加価値検査サービス展開を目指します。
・HMTは、九州大学が開発したバイオマーカーと自社のうつ病バイオマーカーをはじめとする複数のバイオマーカーを組み合わせたマルチマーカーを用いてPOCを行い、休職期間中の抑うつ状態のモニタリングから復職の判断補助となる評価指標を開発し、リワークプログラムを中心とした復職支援に寄与する高付加価値検査サービスの展開を目指します。
・3者の連携により、高ストレスリスクの軽減およびうつ病などを含めた高ストレス者のスムーズな職場復帰支援などを行える働きやすい社会環境を構築、働く人のQOL(Quality of Life)の向上に寄与します。

詳細

九州大学ホームページをご参照ください。

九州大学 Kyushu University令和4年度 九大発ベンチャー創出の支援について

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