経済学研究院
藤井 秀道 教授
日本企業2100社を対象としたデータ解析より関係性を明らかに
ポイント
・東京証券取引所が資本コストを意識した経営の実現に向けた取り組みや情報開示を各企業に要請
・低水準のGHG排出量やTCFDに沿った情報開示を行う企業では株主資本コストが低い傾向にある
・TCFDに沿った情報開示を行うことで「GHG排出量の増加が資本コストを上昇させる影響」を緩和
概要
気候変動問題が深刻化する中で、投資家や金融機関から企業に対する温室効果ガス(GHG)排出量の削減要請は年々強まっています。その一方で、気候変動対策を行うことで得られる企業の経済的なメリットについては十分に明らかにされておらず、特に日本企業を対象とした実証研究は限定的でした。
九州大学経済学研究院の藤井秀道教授、大学院経済学府の王一舟さん、沈思語さん、九州大学都市研究センターのJun Xie助教、九州大学大学院工学研究院のAlexander Ryota Keeley准教授、馬奈木俊介主幹教授は、日本企業2100社を対象にデータ解析を行い、企業の気候変動対策が資本コストに与える影響を明らかにしました。解析結果より、企業の気候変動対策は株主資本コストを低減させる効果が示され、その効果は気候変動問題を重要課題とする業種で顕著に観測されました。これらの分析結果は、企業に対して気候変動対策を促すための政策立案に有用な情報として活用されることが期待されます。
本研究成果は環境経済・環境経営分野のトップジャーナルである「Corporate Social Responsibility and Environmental Management」(2022 Impact Factor: 9.8)のオンライン速報版に、2024年5月21日(火)(日本時間)に掲載されました。
研究に関するお問合せ先
経済学研究院藤井秀道教授
詳細
本研究の詳細は九州大学プレスリリースをご参照ください。