AIで発見した「新規バイオマーカー」に基づいた迅速な抗がん剤開発をスタート

~大学とDeep Techが切り開く新しい創薬の姿~

本事業のポイント

・新規バイオマーカーをAIで探索することにより抗がん剤開発をスピードアップ
・トリプルネガテイブ乳がん治療薬開発を第一目標とし、膵がん、胆管がん、肺小細胞がんなどアンメットメディカルニーズに向け迅速に応用
・大阪府令和5年度創薬シーズ研究開発費補助金に選定

共同研究の背景と目的

大阪大学大学院薬学研究科 井上豪 教授、生命機能研究科 日本電子YOKOGUSHI協働研究所 難波啓一 特任教授(常勤)、九州大学大学院薬学研究院 大戸茂弘 教授らのチームは、Deep Tech ベンチャー(株)COGNANOと共同で、バイオマーカー*1が発見されていない難治がんを解決する抗がん剤開発に乗り出します。
これまでトリプルネガティブ乳がん(TNBC)*2は、標的となるバイオマーカーが発見されておらず、治療のための創薬が困難でした。バイオマーカーが不明な疾患をアンメットメディカルニーズ*3と呼びますが、TNBC以外にも膵がん、胆管がん、肺小細胞がんなど、多くの疾患が未解決のまま残されており、将来に向け大きな課題となっています。

本事業では、ビッグデータを用いて新規バイオマーカーの探索に取り組むCOGNANO社と、大阪大学大学院薬学研究科/生命機能研究科、九州大学大学院薬学研究院が共同で、新規バイオマーカーを認識する抗体を用いて抗体薬物複合体(ADC)の開発に向けて研究を進めます。

用語解説

*1 バイオマーカー
疾患や健康状態を特徴づける目印のこと。診断や治療の目安となる生体分子(タンパク質、核酸、糖鎖、脂質)を意味しますが、抗がん剤開発においては特に「(ほぼ)がん細胞だけに発現している分子」のことを指します。このマーカー分子を追跡・把握することで、がん細胞の所在がわかるだけでなく、分子を標的とするミサイル療法をも可能にすることができます。バイオマーカーを追跡するために最も有用な物質が抗体です。
*2 トリプルネガティブ乳がん(TNBC)
トリプルネガティブ乳がん(TNBC)は、乳がんの治療標的となる三つの受容体が欠如していることから、そのように名付けられており、治療法が確立されていないがんの一つ。日本では全乳がん患者数の約15%にあたる約13,800人が罹患し、世界には約30万人の患者がいると推定されています。
*3 アンメットメディカルニーズ
創薬を開始するためには薬剤が結合して影響を及ぼす相手分子(バイオマーカー)が出発点になるのですが、未だに多くの疾患でバイオマーカーが発見されておらず、創薬を開始できない最大の理由となっています。患者さんからの要望が大きいにもかかわらず、バイオマーカー未発見のため創薬が行き詰まっている疾患群を、とりまとめてアンメットメディカルニーズと総称しています。

詳細はプレスリリースからご確認いただけます。
九州大学ホームページもあわせてご参照ください。

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